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零れ桜。

「桜の舞うスピードってさ」
川べりの桜並木。
「秒速5cmなんだって」
俺の背中から、話しかける声。

桜の花びらの舞う道を、自転車に、二人で。

「俺の知ってる話はさ」
流石に後ろは向けず。
「桜の舞う速さって、ホタルの舞う速さと、雪の降る速さと同じなんだと」 
MTBをこぎ続けながら、話す。
「日本人は、この速さに雅を感じるって話だ」

物知りじゃん、と言って、人の頭をぺしぺしと叩く。
「この川ってさ、上流行くといるんでしょ、ホタル」
唐突に、思いついたかのように話し出す。
「確かめてみようよ」
その思いつきに、あのなあ、と先に置いて。
「今は春だぞ」
ふう、と溜息をつき。
「ホタルはまだだし、まして雪なんてずっと先」

「覚えてればいいだけよ」
そんなことは大したことじゃない、と言ったふうに。
「その時まで」

「……その時まで付き合ってなきゃいけないわけか」

「別れる気なのか、オマエはっ!?」
スリーパーをかまされ。
「バカ、絞めるな首をっ!」
細い腕が、綺麗に首に入っていた。

腕はやがて外されたものの、咳き込みながら、こぎ続ける。
「さっき、ちょっと気持ちよかった」
「何が?」
「背中が」
「スケベ!」

もう一度、首に手が回された。
から、またか、と構えてみたが。
絞めつける、というものではなく。

「……一緒に、見よ、ホタル」
小さな声で、耳元で。
「雪もな」
そう返すと、少しだけ回された手の力が、強くなった。

桜の花びらが、秒速5cmで、舞い降りていた。


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